11作目、12作目のスター・トレックの感想(ややネタバレ)

アメリカ旅行に行ってきたのですが、その感想は置いておいて←

行き帰りの飛行機でつい見てしまった

    ずっと怖くてみていなかった新しいスター・トレックをやっと見たので感想というか、思いの丈を書きなぐる。

 11作目から新しいシリーズが始まり、1作目~のカークとスポックの話を作り変えるということで、大変に、大変に! 心配しておったわけです。

 11作目は、オールドファンの色々な違和感ややるせなさをタイムスリップによる平行世界の話ですからね、と言い聞かせねじ伏せるという荒業を成し遂げていて、でもちゃんとそのへんの説明もやっていたのでなかなかやりよるな、と思った。

 ややトーンダウンしているとは言え、トレックらしいSFとしての味も要所要所に出ていたし、ニモイ先生(老スポック)が元気な姿を見せてくれただけでも、もう胸いっぱいっていうか、新シリーズの一作目としては悪くない出来だったのではないか。

 スポックが艦長代理になる~の流れが、昔のシリーズのあんなシーンやこんなシーンを彷彿とさせて嬉しかったり、コバヤシ丸テストとか、思わずファンがニヤリとするポイントもばら撒いていた。

 ただ、(BLとしての)トレックオールドファンとしては、薄味に仕上げられたカークとスポックの関係性にモヤモヤするのである。お前らの距離感はそんなもんじゃない! なんだか二人共、割とちゃんと距離をとってる感があって、まあ、出会ったばかりという設定なので仕方ないんですが、あまつさえスポックなんて彼女作ってカークの前で彼女とキスとかしよる! 許せぬ!! 私がウフーラ(アメリカTVドラマ史上初めてレギュラーとなった黒人キャラクター・なぜかスポックの彼女に)を嫌いになっちゃったらどうするつもりだ! 

 老スポックことニモイさまが「古い友人から学んだ方法だ」とかカーク愛全開だったことだけが救いでした。ニモイさま出るたびニヤける私こわいけど全世界のトレックファンはそうなっているはず。

 そして、彼女とか作って許せん! と思っていた若スポックことザカリー・クイントがこの後ゲイであることをカミングアウトし、全米のゲイコミュニティ狂喜となる。アメリカでもカーク・スポックは伝説的ゲイカップルとして認知されておるのです。

 12作目「スター・トレック:イントゥ・ダークネス」。ベネディクト・カンバーバッチが絶対バルカン人の役と思ったら地球人役やって、地味にショックを受けた。

 脚本的にはパニック・ムービー。SFらしい驚き、価値観をぶち破って新しい倫理を突きつけてくる伝統のトレックイズムは欠片もなく、そういう意味では見るべきものがない。

 マッコイ医師がなんだか真面目で、私の愛する適当チョイ悪オヤジはどこへ行ったのか…。ニモイ先生の出演も大幅減。これは一体なにをみるべきなのか…。もうよくわからない。近未来なサンフランシスコの風景がぶち壊されていくのを見てもすげえとか思わねぇし。だってこれジオラマじゃなくてCGだもぬ。。次作もこの路線でやるのなら正直厳しい…。11作目で受けた期待感が木っ端微塵に打ち砕かれ、悲しみにくれる(SFとしての)トレックファンの私…。

 しかしゲイムービーとしては大きな進歩があった。クソ真面目なスポックにキレるカーク。解任されたカークを「船長」と呼び、「もう船長じゃない。お前のせいでな!」とか言われるスポックたん切ねえ。彼女とのラブシーンも大幅減で、カークのことで感情を爆発させるスポックとか製作陣の意識改革が見えるが、だが正直なんか違う。そういう表層的なやつじゃなかったんや、カーク&スポックの絆って。でも方向性としては間違ってないので、そっちの路線はそのまま行って欲しい。

結論としては、まぁ、ゲイムービーとしての意識を堅持しつつ、脚本にSF作家を宛てがってくれたらもうちょっと続けてもいいと思う。リンデロフも好きなんだけど。SFであることに自覚的であってください! と思いました。

 ここまで見て、「ああ、昔のカーク提督が見たい。シャトナーとニモイのトレックが見たい」と思ったら、ちゃんとそっちも用意してましたデルタ航空。3作も。ピカード艦長のニュー・ジェネレーションも用意していた。でもさすがに疲れて2作目見てると中で寝ましたが。

 アメリカ人、トレック好き過ぎやろ。