OSKってご存知ですか?
OSKは90年以上の歴史を誇る、いわゆる「少女歌劇団」です。主要な卒業生としては京マチ子とか……(古い!)
かつては「歌の宝塚、踊りのOSK」と並び称されたほどの名門でした。
それがなぜ、これほどまでの差がつくようになったのか。
いろいろ要因はあったようですが、生みの親の松竹の手から離れ、のちに近鉄傘下に入ったものの、その親会社近鉄の業績が悪化し近鉄バファローズの解散の時期にOSKも一旦解散となります。
しかし、団員は諦めなかった。存続を求める署名を集め近鉄に提出したり(近鉄の決定は覆らなかったが)、自ら資金調達に奔走し、解散前最終公演からわずか3ヶ月後に早くも、自分たちの力でレヴューの幕を開けたのです。
その後の道も決して平坦ではなく、民事再生を受けたり、事業譲渡があったり、紆余曲折を経てきました。
私は正直、あんまりOSKには思い入れがありません。私が物心ついた時にはOSKの本拠地は奈良だったので、あんまり見る機会がなかった。そういうのがあるんだー程度の知識でした。
ですが、解散時の運動&そこからの再生という流れをこの大阪の地で見ている間、彼女たちの舞台人としてのまっすぐな姿勢、けして諦めない「雑草魂」をかっこいいなーと思っていました。
今回の大阪松竹座の「春のおどり」、東京新橋演舞場の「夏のおどり」を最後にOSKトップスターの桜花昇ぼるが退団されることが発表になりました。
苦難の時期にトップに立って、走り続けた桜花さんのステージ。見ておきたいなーと思い、うまれてはじめてOSKの舞台を見に行きました。
「踊りのOSK」は古式ゆかしくレヴュー歌劇でした。一部が和物レヴュー、二部が洋物レヴュー。
まず和物レヴュー。宝塚ではかなり前からやってないんじゃないかな和物レビュー。
現代風の早いテンポの曲で日舞(をアレンジしたもの)を舞うのですが、これが結構個人的には面白かった。
男性が女の振りで踊るのは上方舞ではよく見るのですが、女性が男振りで踊るのって、なんだか鮮烈。四条河原ではじめて出雲阿国を見た人の興奮をリアルに感じた。結構萌える!
松竹時代からの売りらしい、歌舞伎振りも清廉な印象があって、歌舞伎役者とはまた違った魅力があった。
途中では、大阪の劇団らしく笑いを取る演出もあって、その辺はすごく大衆演劇とか松竹新喜劇とか新歌舞伎座の座長公演的な雰囲気があったが、そこも含めて日本的でいい。
歌舞伎の劇場を使っているので、終幕ではトップさんが花道の七三で決まるわけですが、これがなんとも言えず、美しかったです。
二部の洋物レヴュー。
ダンスのレベルがすごい。あと、宝塚に比べてエロティックな演出も多い。タンゴのシーンでなぜかトップさん(男役)に男役がキスをして振り払われるという演出があって、なんで? BL? てちょっと興奮しました。
そしてうわさでは聞いていたけれど、ラインダンスのレベルがハンパない。
アンコールでの桜花さんの「楽しいこと、辛いこと、悲しいこと、いっぱいありました」ではじまるご挨拶には涙を禁じえませんでした。
団員のレベルは宝塚と比べてもそう遜色はないと思う。ダンスだけを取れば、むしろOSKのほうがレベルは高いだろうと思う。じゃあ、何がダメなのかと言うと、演出だよなあって。レヴューはこれでいいのかもだけど、なにかひとつ、代表的な芝居ができればいいのになと思った。誰かOSKに格安でアニメの版権譲ってあげて欲しい…。