ただいま絶賛上演中、九月南座超歌舞伎!! 二年ぶりに京都へ帰って来た超歌舞伎! 待ってましたぁ!!
毎年、今年が一番いいと言い続け、私の最高記録を超えていく超歌舞伎ですが、今年も本当に今年が一番いいので、ぜひ多くの皆さんに見ていただきたいと思います!
ですが、ニコニコの配信のようにリアルタイムの有識者解説が見られないので、はじめて見る方にはちょっと分かりにくいところがあるようです。公演前に番附(パンフレット)買って読んでいただいたり、同時解説イヤホンガイドを借りていただいたりすれば問題ないとは思うのですが、(もしくは本日のニコニコ配信を見ていただければきっと有識者解説があるよ!)
九月南座超歌舞伎【ネット視聴チケット】 – ドワンゴチケット
開演前にパンフ全部読むのは困難だし、イヤホンガイドは好みが分かれるところもあるので(どうしてもある程度、芝居の間に入って来るので集中できない人も…私はこのタイプ)、めちゃめちゃ簡単に、最低これだけおさえておけば割とすんなり話に集中できるのではないかというところを書いてみました。もしよろしければ観劇のお供にお使いください。
なお、決定的なネタバレは一応避けたつもりですが、それでもある程度のネタバレがあるので、ネタバレダメな方はこの先はお読みにならないでください。
一、都染戯場彩(舞踊)
あんまりストーリーはないので気楽に見てください。3つの場で構成されています。
「花の大内」
平安時代。御所の花見での公達の恋。
「月の吉原」
江戸時代の廓「新吉原」。いなせな鳶頭と芸者の恋。芸者が鳶頭の浮気を詰って痴話げんかになる。その後若い者にけんかを吹っかけられるが撃退し、二人は仲良く去っていく。
「雪の石橋」
文殊菩薩の霊地、清涼山の雌雄の獅子。いわゆる「石橋物」のええとこどりで構成した舞踊。毛振りが見どころ
二、御伽草子恋姿絵(お芝居)
「発端 都老の坂の場」
この最初の場面が一番分かりにくいみたいなので、ちょっと細かくあらすじを書きます。
都のはずれの坂道。都を騒がす女郎蜘蛛の妖怪を、源頼光の家来・平井保昌が打ち取ろうとする。ところが不思議な力で保昌は気を失う。そこに山姥茨木婆が登場。彼女は、日本を魔界にしようとした女郎蜘蛛を助けるため保昌を気絶させたのだが、もう女郎蜘蛛の命が尽きようとしているため、女郎蜘蛛から生き血を取って、嫉妬の心を持つ人間にこの生き血を注いで、女郎蜘蛛を乗り移らせようと考える(生き血は、結構よく出てくる定番のマジックアイテムです。色々な力を持ってたりする)。
ふと、茨木婆は人の気配を感じ、お堂に隠れていた盗賊・袴垂保輔を発見。捕らえようとしますが、折り悪く雲が月をかくし、あたりは真っ暗になります。そして、気絶していた保昌も目を覚まします。
ここから、登場人物の動きがスローモーションになり、舞踊的な動きをします。お互い暗くて目が見えず、さぐりあう様子を強調して表現する場で、こういう場面を「だんまり」と言います。茨木婆、保昌、袴垂が暗がりでお互いの姿を視認できないまま、探り合ったり、揉み合ったりします。そのうち、袴垂が茨木婆が持っていた巻物を奪い取ります。これは妖怪を退治する秘術が記された書でした。「良い物を手に入れた!」と喜びながら袴垂は去っていきます。
人物の背景が分かりにくいようですので、あとは人物紹介を書いて終わります。これだけ分かっておけばお話の筋に集中できるのではないかと、思います!!
・登場人物紹介
人気の花魁・七綾太夫。その正体は平将門の娘、七綾姫です。
七綾太夫は死んだ将門の無念を晴らすため源頼光を害そうと彼に近づいたが、だんだん頼光の人柄に惹かれ、心底惚れてしまったと語ります。
あの源頼光。七綾太夫に入れ揚げて、廓に入り浸っているため保昌に意見されたりしています。許婚がいるのに、それはそれ、七綾太夫が本当の妻だよとか言ってますが、心の中で本当の妻と思っているだけで、実際の扱いは七綾太夫は愛人ですね。
紫の鉢巻を左側で結んだものを「病鉢巻」といい、病にかかっていることを表します。今回途中で頼光が病鉢巻になりますが、これは頼光がミクロスになって、恋煩いしていることを表しています。
☆平井保昌(澤村國矢)
頼光の家来。本当は藤原道長の家来なんですけど、酒呑童子討伐に加わったからか、たまに頼光の家来みたいに扱われている作品がある(つまりこれはそれ)。盗賊・袴垂保輔は保昌の弟であるが、素行が悪いため既に勘当している。
☆袴垂保輔(中村獅童)
獅童さんは頼光と袴垂の二役を兼ねているので注意してください。頼光から袴垂、袴垂から頼光に早変わりするのも見どころの一つです。
☆山姥茨木婆(中村蝶紫)
山姥と茨木童子の伝説まぜこんじゃったんかな? 日本を魔界にしたい。嫉妬に狂う人間を早く見つけて女郎蜘蛛を復活させたいので、嫉妬に狂う女がいっぱいいるであろう遊郭で仲居に化けて、嫉妬に狂いそうな女を物色している。