VOCALOIDとは??

最近、VOCALOIDのネタばかり書いているわけで、ここらでいっちょ基本的な「VOCALOIDとは?」っていうのを書いてみたいと思います。

VOCALOID――ヤマハが開発した音楽合成ソフト。他のDTMソフトが楽器の音を合成するのに対し、VOCALOIDシリーズは人声を合成し、機械に「歌わせる」ことを可能にしたアプリケーションである。自作曲をプロのシンガーに歌ってもらえる、というソフトは全国の宅録者に夢を与えた。現在VOCALOID2まで発表されており2008年には3がデビュー予定。

日本語版VOCALOID――VOCALOIDは「言葉」を音程に載せるため、言語別に開発されている。日本語版は当初ヤマハが開発していたが、クリプトン・フューチャー・メディア社が現在ライブラリの開発と販売を行っている。ちなみに日本語版のほかに英語版が発売されている(ZERO-G社・英国)。

meikoMEIKO――日本語版VOCALOID第一弾、女声。ボイスサンプルは元ヤマハミュージックコミュニケーションズ所属のシンガー拝郷メイコ。ロック、ポップス、ジャズなど幅広い歌唱、力強い声が特徴。ソウルフルな歌唱を得意とすることや、ジャケット絵のショートカットの活動的な女性のイメージからかユーザーやファンの間では強くて大人の女性で「酒飲み」というイメージが定着、アイテムとして「ワンカップ」をもつ姿がよく見られる。初年度で3000本売り上げ、DTMソフトとしては異例のヒットとなった。メイコマスター は実力者が多いと言われる。個人的な感想としてはロックやアンビエント系の作曲者が多く、地味ながらも良曲が多い。

カイトジャケKAITO――第二弾、男声。ボイスサンプルはスタジオシンガー風雅なおと。ポップスや童謡(!!)を得意とする清涼感と伸びのある優しい声が特徴。初年度500本しか売れない(宅録者は男性が多い)という鳴かず飛ばずヤマハ・クリプトン泣かせのソフトだったが、鏡音(下記参照)販売後、女性のボカロファンが増えたこともあり、急に売り上げ・音楽動画投稿共に増加した。公式のコピーが「童謡」ってのがいけなかった気がする。手間掛けてDTMで童謡作る人あんまいませんよ?KAITOの歌唱の幅広さには定評があり、ネタから本気の歌唱まであらゆるジャンルに対応できるが、唯一ロックがニガテな気がする。高音では女声のようになることから「KAIKO(カイコ)*1」という派生キャラ を持つほど。力強い発声も可能でオペラや演歌でも実力を発揮する。1ユーザーが作った動画から「アイス好き*2」という設定が定着しアイス関連の曲が膨大。天然で苦労性というイメージ、さらには匠シン*3の曲から「卑怯」(といってもネタですが)というイメージなどが多い。一番いじられているキャラだと思う。

ミク公式初音ミク――VOCALOID2日本語ライブラリ第一弾。ここからクリプトンのライブラリ開発(キャラクター・ボーカルシリーズ)となる。より自然な合成音を可能にした2において、(なぜか)クリプトンはプロのシンガーをサンプルに使わず声優藤田咲を起用。力強い発声ができない代わりに、より自然ではっきりした発音を可能に。初音ミクは独特のポップでキュートで伸びやかな声を持ち、高音の伸びはすばらしく、ジャケ絵のかわいさもあって、DTMを扱ったこともない人々の心をもわしづかみにした。さらに操作性の容易さもあり、音楽制作の門戸を広げることに貢献した。アイドルポップを歌うことにも長けているが、同時にエレクトロ・ポップとの相性もよく、男性宅録者にポップでキッチュなダンス・ミュージックを作る道を切り拓いた。初音ミクによりVOCALOID人気は不動のものとなったといえる。もっとも有名で人気のあるソフトであるため、ユーザーによるキャラ設定も多岐に渡っているが、素直でかわいい女の子というのがステレオタイプのミクのイメージだろうか。一動画から広まったミクのアイテムとして「ネギ*4」が定着している。アニソンからポップまで幅広く歌うが、力強い歌唱は苦手としている。

リンレン公式鏡音リン・レン――CVシリーズ第二弾。ボイスサンプルは前々から力強い歌唱と、歌唱時に舌足らず になることでネット上で話題を集めていた声優下田麻美*5を起用。エレクトロ・ポップから演歌(!!)まで歌えるというのが公式のキャッチである。実際、力強い歌唱もかわいらしい歌唱も可能なのであるが、サンプルを引きずったのか(それともあえて?)滑舌の悪さが指摘されていて、歌詞の聞き取りが困難。ジェンダー・ファクター機能により、男女の声の振り分けが可能、元々は同じサンプルのため美しいユニゾンを作ることも可能。発売前に投稿された一動画から広まったアイテムが「ロードローラー(黄色いから)*6」。他にもリンには「みかん」、レンには「バナナ」といったアイテムもよく使われている。ビジュアルや声のイメージから溌剌として気の強いいたずらっ子といったイメージが定着している。MEIKO以来登場していなかったロック向きの声(特にレン)、ジャズやファンクにも対応でき、非常に汎用性は高いが、それゆえの扱いにくさもあるようだ。個人的な感想だが鏡音マスターには個性派が多く、独自の世界観のある楽曲が多いように思われる。

 1 派生キャラとは、多くのユーザーによって作り上げられてきたVOCALOIDの性格設定から外れるような性格付けを行う時に別人格として設定されたキャラクターのこと。

 2 http://www.nicovideo.jp/watch/sm1067989

 3 http://www.nicovideo.jp/watch/sm1639267 言わずと知れた超有名楽曲。KAITO人気に火をつけたといっても過言ではない

 4 http://www.nicovideo.jp/watch/sm982882

 5 「エージェント夜を往く」という歌の歌詞「溶かしつくして」が「とかちつくちて」と聞こえることが話題になった。

 6 http://www.nicovideo.jp/watch/sm1667273