「曙の会」行ってまいりました。

実は、生まれて初めて寄席というものに行きました。

天満天神繁昌亭は、一度行ってみたかったのですが、なんだかんだで行く機会を逃していたので、とても楽しみにしていました。

まず、繁昌亭の印象。建物の前は何度も通っていたのですが、入ってみると、小劇場といった趣で、一心寺シアターなんかと似た印象を持ちました。

天井を見上げると、ご贔屓さんのお名前の入った提灯がぎっしりと吊り下げられていて、そのあいだから入ってくる自然光。劇場というとじた空間ですが、開放感のあるこの設計にはなかなか感嘆いたしました。

で、今回寄らせていただいたのは「曙の会」。春団治一問の若手の会とのことです。

桂壱之輔 「手水廻し」

上方落語の古典なんでしょうか。このお噺ではじめて、手水が大阪の方言だと知りました。びっくり!!

壱之輔さんは多分、この中で一番ベテラン。なんというか落ち着いた芸だなと思いました。安心して見れるっていうか。

桂福丸 「河豚鍋

私は福丸さんでかなり笑いました。枕はちょっとたどたどしい感じがしたんだけど、それもちょっと笑いを誘うというか。噺に入ると、打って変わってすごくうまくて、そのギャップにもやられたかもしれませんw

桂治門 「真田小僧

治門さんは話自体は面白かったんだけど、素人の意見としては芸が荒いというか、ちょっと力で笑わせてる感じがして、素直に笑えなかった。

桂咲之輔 「七段目」

一歌舞伎ファンとして、この演目が一番点が辛くなってしまいます。

まず、このお話自体は、芝居好きにとってすごく面白いお話だと思うんです。好きすぎて、芝居の真似をしてみたくなってしまうってのはすごくわかる。子供が仮面ライダーごっこやるのと同じ、無邪気な衝動。私も何か命じられた時に「へぇ」って女形っぽく返事したくなるw

手代が若旦那に仮名手本忠臣蔵のお軽をやれと言われて「お軽やらしてくれまんのん」って喜ぶのが、すごく面白い。だって、普通、男性は女性の役よりはかっこいい立役者の役がやりたいのじゃないかと思うんだけど、確かにこのお軽という役は魅力的だ。お軽は最初は色恋沙汰にうつつを抜かす乙女として登場し、勘平と夫婦となってからは勘平に身を立てさせるために身売りまでする素晴らしい女房となり、この「七段目」では祇園の芸妓として華やかな暮らしをしていたが、兄のため、忠義のため死をも辞さない強さをみせる。これを演じるというのは演じ手冥利に尽きると思う。遊びとは言えお軽をやるというのにテンション上がるのはわかるなあ、というこっけいさ。さらに落語の中で噺家がモノマネする歌舞伎の物言いなんかがとても面白いのだ。

ところが、今回、正直素直に笑えなかった。

それは、枕のないようのせいです。悪気はないのはわかるが、歌舞伎の木戸銭が高すぎるとか、義太夫が大層だとか。ネタにするのはいいんですが、このお噺は多分、芝居好きに向けて作られたものだと思うので、その雰囲気を壊さないで欲しかった。あと、歌舞伎が高いのはほんまですが、大向こうは一番安い席からかけるものなのに違うような説明がされていた。

義太夫の笑い方が大仰だというところで「これ客席におったら『病院行け』てなる(意訳)」というのも、いくらなんでも無体な物言いやなあ、と思いました。

パロディっていうのは愛がないとダメだと思うけど、この枕のあとだと「本当に愛を持って歌舞伎の所作を真似ているのか?」て疑ってしまうので、どうにも楽しめなかった。

全体的にはすごく楽しめました。やはりテレビで見るのと、実際生で聴くのは全然違いますね。

あと、お客さんがすごく面白かった。おじさん達とか、なんかすごく「俺たちが育てたろう」的オーラが出てて、隣に座ってたおじさまとか、一席終わるごとにアンケートすごい書き込んでて、すごかった。